加圧の理論

加圧トレーニング基礎理論

加圧トレーニングとは「適切に血流を制限した状態で行うトレーニング方法」のことです。 専用の加圧器具を使用して、腕の付け根(上腕二頭筋の基部)や脚の付け根(大腿部の基部)に各個人に合った適切な圧 を掛けながら、目的に合ったトレーニングや運動を行います。

加圧前

血流末梢抵抗値※1=1.0
適正でない加圧をした場合、思わぬ危険を招く可能性があります。必ず資格者の指示を仰いでください。

加圧時

血流末梢抵抗値=~1.7
加圧トレーニングを行うと、負荷が軽くても筋繊維の動員率が高まり、さらに酸素不足となることで血液中の乳酸濃度が急激に上昇します。加圧時に高まった乳酸が筋肉内にある受容体※2を刺激して、脳下垂体から成長ホルモンの分泌を促進させます。

加圧時

血流末梢抵抗値=~1.7
加圧トレーニングを行うと、負荷が軽くても筋繊維の動員率が高まり、さらに酸素不足となることで血液中の乳酸濃度が急激に上昇します。加圧時に高まった乳酸が筋肉内にある受容体※2を刺激して、脳下垂体から成長ホルモンの分泌を促進させます。

徐圧後

血流末梢抵抗値=~0.6
増加した成長ホルモンは体脂肪を燃焼させ、遊離脂肪酸※3として血中に放出します。さらに、体内を循環した成長ホルモンは、身体組成の様々な働きに効果的な影響を及ぼします。

用語解説

※1 血流末梢抵抗値/血流の流れにくさを測る指標。
※2 受容体/生物の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報として利用できるよ
うに変換する仕組みを持った構造のこと。レセプターともいう。
※3 遊離脂肪酸/脂肪が分解され、血中へ溶け出したもの。

血管の拡張・収縮機能が高まり、血行がよくなる。

人間の体を循環している血液は、心臓から送り出され大動脈に入って全身に送られます。そして、全身を巡った血液は、静脈に乗って心臓へと戻っていきます。
太い動脈と静脈の両方が通る腕や脚のつけ根部分を加圧することで、心臓より上部は一時的に血流が減少した状態になります。すると、脳は危機を感じて血流を増やすよう心臓に指令を出します。その結果、血流量が増え毛細血管の隅々まで血液が行き渡り血管が拡張します。加圧と除圧の繰り返しにより毛細血管の数が増えることで血行がよくなるのです。

血管内皮細胞が柔らかくなり、弾力性のある血管に蘇る。

血管は加齢によって硬くなり、血液を送る力が弱くなってきます。特に、血管の最内層にある血管内皮細胞は血管の健康状態を維持するのに非常に重要な役割を果たしています。血管内皮細胞は一酸化窒素(NO)を生成し、血管壁の収縮・弛緩(血管の硬さ・やわらかさ)をはじめとして、血管壁への炎症細胞などの調節を行っています。加圧トレーニングを継続的に行うと、この一酸化窒素(NO)が分泌されるようになり、血管内皮細胞が若返り、増加するという臨床研究データが出ています。

速筋と遅筋が同時に鍛えられる。

筋肉は主に速筋と遅筋の2種類に分かれます。通常、速筋は重い負荷のトレーニングで鍛えられ、遅筋は軽い負荷のトレーニングを長時間続ける必要があるため、通常2つの筋肉を同時に鍛えることはできません。加圧トレーニングを始めると、加圧しているために血流量が充分ではなく、すぐに活動を始めた遅筋の酸素が足りなくなります。これは、大きい負荷の運動を行っているのと同じ状態を人工的につくり出しているということです。そのため、通常はなかなか活動を始めない速筋が大きい負荷を受けたと脳が錯覚して、すぐに活動を開始するよう指示を出します。加圧トレーニングでは、軽い負荷で速筋と遅筋を同時に鍛えることができるのです。

速筋と遅筋が同時に鍛えられる。

運動動作による筋肉の収縮にともない、そのエネルギーとして使われる糖質の分解により乳酸がつくられます。乳酸の発生量が増し、血液内の乳酸濃度が増加すると、脳内のホルモン分泌部位への刺激が高まり、成長ホルモンとアドレナリンやアナボリックホルモンの分泌が盛んに行われます。
加圧中は、血流制限下のため、筋血管内の乳酸濃度が急激に高まり、筋肉内の受容体を強く刺激します。この受容体からの信号が、ホルモンを分泌させる脳下垂体への作用を促して成長ホルモンなどが大量に分泌されるのです。成長ホルモンは、身体組成の様々な働きに効果的な影響を及ぼし、アンチエイジング効果(若返り、美肌、身長が伸びる、育毛、老化防止、肥満改善、長寿効果)が期待できる最も強力なホルモンです。